P8-9 袋井の人 大会出場を通して鍛えられた 技術や気持ちを、現場で活かしたい 全国消防救助技術大会「はしご登はんの部」入賞 佐藤正弥副士長(袋井消防署森分署)  消防救助隊員が日ごろ鍛え抜いた救助技術を披露し、互いの知識や技術を交換することで、複雑多様化する災害現場に対応できる高度な技術と強じんな体力や精神力を養うことを目的に開催される「全国消防救助技術大会」。  8月に東京都江東区で開催された第41回大会の「はしご登はんの部」に、静岡県代表として出場したのが、佐藤正弥副士長(27歳)です。 静岡県代表として全国大会へ  袋井消防署森分署に配属されながら、袋井消防署特別救助隊の隊員としても活動する佐藤さん。6月に行われた静岡県大会で優勝し、静岡県の代表として全国大会へ出場しました。  はしご登はんは、垂直のはしごを15m登って、その安全確実性と所要時間を競うもので、全国大会の標準所要時間は24秒となっています。  佐藤さんの全国大会での記録は、15秒7で、52人中14番目の成績でした。 「県大会で優勝したときの記録は、14秒7だったので、全国大会では14秒ちょうどを目標に訓練を行ってきました。  本番ではミスが出てしまい、目標に掲げた記録に届かなかったことは、とても残念ですが、今回、全国大会入賞という結果を残せたのは、上司や同僚、家族や周りの皆さんのサポートがあって成し遂げられたことだと思っています」 「1度限り」という状況の中で 最善の結果を残せるように  1度出場した種目には、再び出場することができないという全国大会。  これまでの訓練でも、自分の中で手応えを感じていただけに、本番で実力を出し切ることの難しさを感じたという佐藤さん。 「救助や災害の現場も、まったく同じ状況はないという点では、常に1度限りです。その中で、私たち消防隊員には『最善』の結果が求められます。  全国大会出場を通じて鍛えられた体力面・精神面の強さを、これからの活動や後輩たちの指導などに活かしていきたいです」と、新たな現場に備えて気持ちを高めていました。 これからも、まちの安全と 安心を守っていきたい 「これからも、市民の皆さんの安全・安心を守るため、信頼される消防隊員を目指して、技術の向上に励みます」と力強く語ってくれた佐藤さん。  相次ぐ自然災害については、「備蓄品の準備や家族での連絡方法・避難場所の確認など、事前に防災意識を高めることで、災害時の被害を小さく・少なくできることがあります。市民の皆さんにも考えてみてもらえたら」と話してくれました。  皆さんも、できることから防災対策に取り組んで、災害に備えましょう。 袋井で活動中 グループ紹介 山名剣翔館 少年少女剣士を募集しています!  創設35年の歴史がある剣道教室で、市内各地の小学生16人と、OB・OGの中高生が活動しています。「正々堂々」の旗のもと、礼儀正しく、感謝の心を大切にし、剣道の技術を身に付ける中で、自分自身を含めて何者にも負けない忍耐力と克己心を養うことを目標としています。  各学年のレベルに応じた練習で着実に実力が伸び、昇級審査や各種大会で好成績をおさめています。少しでも興味がある皆さん、一度、練習を見学に来ませんか。入部は、随時受け付けています。 活動日 火・金曜日 午後7時15分〜8時45分 活動場所 周南中学校武道場 対象 小学生  会費 2,500円/月   問 久野正勝さん(下山梨) TEL090-3957-5278 特別編 THE 対談 9月は防災月間です。 今回は、「災害に強いまち」をテーマに、災害支援活動団体「シビックフォース」の代表と市長が対談しました。 「支援のための連携体制をつくり、大規模災害を共に乗り越える」 「シビックフォース」とは  国内で発生する大規模災害に対応し、NPO・企業・行政・住民組織などの連携により、迅速で効果的な被災者支援を実現することを目的に、大西健丞さんを代表理事として設立された公益社団法人。  袋井市は、平成20年にシビックフォースと災害支援協定を締結し、合同での防災訓練を重ねるなどして連携を深めてきました。また、東日本大震災では協定に基づき、市から職員派遣や備蓄物資の搬送などを行いました。 ▽協定内容…平時における物資備蓄と派遣人員計画の準備、訓練の実施、災害発生時の避難所支援、各種訓練などにおける支援と協力 ▽これまでの支援内容…市内防災訓練での避難所テント設営訓練、ヘリコプターけが人搬送訓練、避難所運営シミュレーションの計画立案と実施 シビックフォースの 活動について教えてください 市長:災害時、市では災害対策本部を立ち上げますが、シビックフォースではどのように対応しますか? 大西:対策チームを編成します。災害にすぐ対応できるよう、平時は常に余裕をもって職員を配置しています。 市長:災害発生直後、支援活動はどのように始まりますか? 大西:まずはヘリで上空から被害状況を把握し、被害を推計します。ここで時間がかかればそれだけ支援も遅れますので、迅速に行います。支援に際しては、常に複数の予備プランを持つことで、どのような事態にも対応できるように心がけています。 市長:その考え方は、大変重要ですね。支援内容は、具体的にはどのようなものですか? 大西:例えば、公的な食料支援は、おにぎりなどの炭水化物と水が主体で、栄養が偏りがちですので、私たちは、ビタミンを補う副食を用意するなど、被災者の生活支援を中心とした活動を行います。 市長:ほかのボランティア活動団体の支援もされていますね。 大西:災害発生当初は、動ける自分たちが、支援活動に動く必要がありますが、ほかのボランティア団体の支援・調整や、出資者との交渉などが本来の活動です。現在も、東日本大震災の復興支援団体約30団体の事業を資金面・運営面双方で支援しています。 市長:ボランティアの受け入れ窓口もしっかりしていないといけないと思いますが、東日本大震災での状況はどうでしたか? 大西:被災した市町の首長や担当部局の力量や手腕によって、支援の受け入れ体制に差が出ていました。  そのような場での私たちの役割は、行政と支援団体との間に立って受け入れを進言することです。その点、袋井市とは協定もあり、市の意思決定もスムーズに進むと考えています。 支援協定を取り巻く 情勢について教えてください 市長:4年前の協定締結当時に較べて、現在の自治体は変わってきていますか? 大西:当時は、民間の支援団体との協定締結などを、柔軟に捉えてくれる自治体がまだ少なかったと思います。また、現在は、SNS(※1)の普及などにより、以前より大きな支援・人員を確保できる可能性が高まっています。 市長:医療面の話になりますが、本市は、住民一人あたりの医療従事者が全国平均の約半分であり、災害時の救護体制に大変危機感を持っています。 大西:被災地での応急処置が困難でも、医療設備があれば助かる人は、大規模な提携病院にヘリで搬送します。広域連携は、医療従事者にも希望を与えて士気を高めることにもなります。 市長:袋井市は協定によって、生命線が2本になったと考えられますね。全国の自治体も同じように連携できれば、防災上すごく有益だと思うのですが。 大西:重要なのは、実際に物資の提供や輸送、資金援助などに動いてくれる企業社会です。  現在、企業はCSR(※2)を超えて、社員一人ひとりが社会貢献を考え、企業を動かすほどになっています。「大規模災害時には、社会全体が生存をかけて闘う必要がある」と考え出しているのです。 市長:行政も、シビックフォースの行動原理やノウハウを学ぶ必要があると感じました。いざというときに互いにスムーズに連携できるよう、今後とも訓練・相互学習を重ねていきたいと考えています。 (※1)SNS…ソーシャル・ネットワーキング・サービス。社会的なネットワークをインターネット上で構築するサービスのこと。 (※2)CSR…企業の社会的責任。企業は社会的存在として、法令遵守などを超えて、自主的に社会貢献を行うべきとする考え方のこと。 問合せ/秘書広報課広報広聴係 TEL44-3104